プレゼンする前に勝てる「プレゼンのコツ」

 

「プレゼンの内容よりも、プレゼンの前にこそ、その人の人間性がでる」

 

わたしは、広告業界で働くなかで多くのプレゼンをしてきたし多くのプレゼンを見てきたが、心からそう思っています。いわゆるプレゼンに入る前の導入部分です。

たとえば「受賞歴」を語るひと。「今までの仕事の実績」を紹介するひと。プレゼン冒頭のスタイルも千差万別だ。

アートディレクターの佐藤可士和は、クライアントの経営層にむけて、最初にプレゼンをするときは、じぶんのオフィスに招いてやるらしい。本棚には、じぶんの仕事が掲載された本や雑誌がずらっと並んでおり、経営者の課題や関心に合わせてテーマに合う本を紹介していく。その中で、じぶんが何ができる人なのかを伝え、じぶんに対しての期待値を高めていく。そんなことされたら、プレゼンの内容を聞く前から佐藤可士和に仕事をお願いしたくなってくる。

ただ、ぶっちゃけ「受賞歴」や「仕事の実績」を紹介するやり方では、すでに実績のある人にはよい戦い方だが、世の中の大多数の社会人はそうじゃない。

今回の記事では、とくに実績のないビジネスマンにプレゼンする前に勝てる「プレゼンのコツ」を伝えていきます。




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それは、8年間、広告業界で働いてきていちばん衝撃だった、ある上司の「プレゼンの前のプレゼン」にヒントがある。

 

その上司は、プレゼンの前に、プレゼンの内容とは、直接関係のない話をするのだ。たとえば、「世界平和」に関して語る「息子のサッカー教育」について語るなど。

ものすごい高いレイヤーの課題意識から話(雑談)が入って、社会から捉えたときに、この仕事の意味はなんなのか。この仕事をどう捉えたら、もっとも世の中のためになるか、クライアントのためになるのかを語る。

それだけ語ると、肝心なプレゼンの内容は、現場のスタッフに任せてしまう。そのCDの「プレゼンの前のプレゼン」は、クライアントも、社内スタッフも圧巻した。日本のビジネスの場で、本気で「世界平和」を語れる人なんてどれだけいるのだろう。

社会人になると、優秀な能力を持ってる人でも、いつのまにか課題感のレイヤーが下がってしまいがちだ。「社会を変える」可能性があるくらい優秀な能力を持ってるひとたちが、いつのまにか「ケータイゲームのDL数」とか「商品やサービスの売上」にしか課題意識がいってないことが多い。

経験をつめばつむほど、仕事で責任が増え、目の前の仕事の領域でしか世界が見れなくなり仕事観が小さくなっていくのだ。同じケータイゲームをつくるビジネスマンでも、課題感のレイヤーの高さや、仕事観の大きさ(どれだけ高い次元の課題設定をしていて、ケータイゲームをつくるという仕事の存在意義をどう捉えているのか)で、まったく仕事の結果も変わっていくはずだ。

つまり「プレゼンの前のプレゼン」は、「仕事観」の大きさを語る場でありその仕事観において「その案件をどう捉えているか」をプレゼンができる場でもあるのだ。たとえば、プレゼンを受ける側の視点からみても、このプレゼン技法が効果的なのは明白だ。

だれと仕事をしてみたいか決めるときは、プレゼンの内容だけではなく、プレゼンをしてる人がどういう人間性なのかも大きな判断軸だ。

 

what to sayだけでなく 、who to say。

 

そのwhoを伝えるさい、「受賞歴」「仕事の実績」では、人柄や仕事観は伝わらない。

受賞歴や、実績に、聞く人は共感しない。

だからこそ人の共感できる「仕事観」を語るのが、「プレゼンの前のプレゼン」では効果的なのだ。

またこの「プレゼンの前のプレゼン」は、人と人のあいだの関係性のつくり場でも役に立つ。
(広告業界の用語でいうと「マウントの取り方」)

人は、人になめられたくない生き物だ。なるべく優位な関係性を築き、相手をコントロールしたいというのが、人の心理だ。だからこそ、ビジネス上でも、最初人に会ったときに、じぶんがどれだけパワーを持ってる人なのかを相手に見せつけたがる人が多い。たとえば多くの社会人がやってしまうのが、「年次」とか「経歴」とか「えらいひとと友だち」などを伝えるマウントのとりかただ。

ただ、それはマウントをとっているようで、マウントをとれていない。人とのしての期待値を高めているようで、期待値を高めていない。信頼も勝ち取っていない。

じぶんのスペックを直接伝えても「小物」であることを伝えているのと同じだ。だれしも若手社会人のころ、そんな上司のことはたとえそれが「よい実績」「よい人脈」だったとしても、心のなかでは嫌悪感も抱いていただろう。なぜなら、人は嫉妬する生き物だからだ。

ただ、人は、他人の能力に対して嫉妬はするが、人の「仕事観」に対しては嫉妬しにくい。なぜなら仕事観はスキルではなく、人間性そのものだからだ。だから「世界平和」を語るような大きな仕事観をみせつけられても、嫉妬するのではなく、むしろ、ただただ感心させられてしまう。

つまりもっとも嫉妬を買うことなく、 相手からの期待値を高めるやり方。
それが「仕事観」を語る「その案件の捉えかた」を語る「プレゼンの前のプレゼン」技法である。

人の器の大きさとは、仕事観(人生観)の大きさは、ほぼ同義なのかもしれない。

今一度、「そもそも、なぜ仕事をしているのか」「その仕事観のなかで、その仕事や案件をどう捉えたら  より社会&企業のためになるのか」考えてみてはいかがでしょうか。

以上、プレゼンする前に勝てる「プレゼンのコツ」でした。