Pocket

副業・兼業・パラレルキャリアなどは、「働き方改革」文脈のなかでポジティブに報道されることが多い。
政府も、柔軟な働き方を促進しようと、さまざまな試みを始めている。

私も、今年の3月に電通を退社し、全力で「兼業」を実践してみた。
(ある事業会社でマーケティングマネージャーをやりながら、夫婦でデザインファーム「the Tandem」を経営しています)
参考:夫婦で電通をやめて、新しい働き方をつくることに挑戦します。

世の中の流れより、先がけてやってみて、ひとつ強く思うことがある。
今後、副業・兼業などの多様な働き方は、ある程度増えていくだろう。
しかし、それと同時に「うつ患者が増える」「過労死が増える」などの社会問題も発生すると考えている。

ひとつの会社に勤めるのと、複数の企業に属して働くのでは、ストレスの種類が変わってくるのだ。
私自身、広告業界でそこそこハードワークには慣れていたつもりだが、パラレルキャリアに慣れるまではなかなか苦労した。いま多くのメディアでは、多様な働き方の光の部分しか報道をしていないが、このブログでは、多様な働き方の課題と、その対策法を紹介していきます。これから副業・兼業を始めてみたいと思っている方へ、少しでもヒントになれば幸いです。

●今回のブログの構成

1、パラレルキャリアの新しいストレスとは

2、過労死せずに、収入を増やすパラレルキャリア実践法
3、パラレルキャリアを実践してみたメリット

※「副業」「兼業」「パラレルキャリア」は意味が少しずつ違いますが、本ブログでは、まとめて「パラレルキャリア」と表記します


スポンサーリンク




1、パラレルキャリアの新しいストレスとは

新しいことには、新しいストレスや課題も発生する。
私自身、パラレルキャリアを始めて1ヶ月すぎたあたりに、ストレスで寝込んでしまったときがあった。けして、仕事量が多かったわけでもないし、不眠不休だったわけでもない。広告業界で、マルチタスクやハードワークには慣れていたはずなのに、一体なぜなのか。それは一社で働くのと、パラレルキャリアとでは、ストレスの種類が大きく変わるからだ。
その本質は、私の知り合いのある看護師が言っていたことばに、ヒントがあると思っています。

「人は、ひとつのストレスでは、簡単に死なない。
ただ複数のストレスになったときに、人は死にやすくなる。」

仕事(会社)だけのストレスなら、人は会社のせいにできる。しかし、たとえば受験と失恋が重なる、仕事の失敗と家族の不幸が重なるなど。
種類のちがうストレスを同時に受けると、人は一気に精神的バランスが崩れるというもの。これは、わりと多くの人が、実感として共感できるのではないか。

ひとつの会社のなかで、マルチタスクをするのは、そのなかで優先順位がつく。予算・スケジュールなどの条件を指標に、チームメンバーと分業していけば、なんのストレスもなく仕事を推進していける。(ちなみに私自身も、電通では同時に20社以上担当していたが、特にストレスは感じなかった)

ただしパラレルキャリアでは、「会社A」と「会社B」というちがう論理に巻き込まれる。Aという会社、Bという会社の重要事項が同時に発生するなどの状況も生まれるのだ。

「スケジュールが重なったらどうしよう」
「じぶんの時間をどう振り分けるか」

その意思決定をするのに、じぶんの思考がとられることが、とにかくストレスであった。そして、その選択をいくら考えても、明確な答えが出ないことも多い。

つまり、ひとつの会社に属しているかぎり、「仕事」のストレスは大きく1つに集約できる。しかし複数の会社に属すと、それぞれちがう論理のストレスが乗算され、ストレスもべき乗で増えていく。そういう構造になりやすいのである。

パラレルキャリアは、そもそも働き方として間違っているのか?それとも、ストレスの負荷をさげ、幸せに働ける実践法があるのか?私自身、半年間実験をしてみて、いまではパラレルキャリアのメリットを享受していると感じています。
つぎは「ストレスの負荷を下げ、じぶんの幸せを追求する」ためのパラレルキャリア実践法を紹介していきます。

2、幸せに長く続けるための「パラレルキャリア実践法」

パラレルキャリアは、「柔軟で変動的な働き方」というイメージがあるのではないか。しかし私は、いかに「固定」をつくるかが、パラレルキャリアを健康的に続けられるポイントであると考えています。そのポイントを、5つの要素に集約してみました。

1、パラレルキャリアは、一人ではなく、複数人でやれ。

パラレルキャリアは、個人でやるもの、多様な人と柔軟に働くというイメージがあるのではないか。私はむしろ「固定のパートナー」をつくるということがとても重要だと思っています。

私は、夫婦でデザインファームを経営しているのですが、私が忙しいというときには、妻に対応してもらったり、逆に妻が忙しいときには、私が対応し協力し合っていました。固定のパートナーがいることは、お互いが助け合うというセーフティーネットになるのです。

パラレルキャリアをやるときは、夫婦でやる。友人とやる。同僚とやるなどを検討するのを、個人的にはおすすめします。ちなみに夫婦で実践することは、ふたりの会話を増やし、夫婦円満にもつながりやすいので、よりおすすめです。

2、パラレルキャリアこそ、休み&寝る時間を固定させろ。

パラレルキャリアでは、どこまでも労働時間を伸ばすことができるようになります。ひとつの会社に属していれば、労働時間は会社もマネジメントしてくれますが、パラレルキャリアでは自分自身で管理する必要が出てきます。

個人的におすすめするのは、寝る&起きる時間を固定にすること。私は「12時すぎに寝て、7時半に起きる」ということにしています。そして、その時間帯のなかでやれる仕事しかしない。それを半年間実践してみて、長時間労働をするより、むしろ生産性が高まり、幸福度も増したという実感があります。

また睡眠時間と合わせて、休憩の時間を固定にしておくのも効果的です。たとえば、水曜日のAMは「休み(時間休)」にしておくなど。万が一、なにかの仕事が漏れてしまったものがあれば、その時間で対応する。ちなみに、睡眠&休憩などについては、以下の本を参考に実践しました。
(本のタイトルはうさんくさいですが、個人的には目から鱗でした)

【参考】脳のパフォーマンスを最大まで引き出す 神・時間術

3、パラレルキャリアは会社に隠すな、すべてを公開せよ。

副業・兼業を少しでも経験したことがある人なら、鉄板のあるあるネタがあります。それは「罪悪感」を感じることが多いということ。
まだまだ一つの会社にしか属していないビジネスマンが多いなかで、パラレルキャリアを実践することには罪悪感を感じることが多いのです。そうすると、バレないようコソコソとやる、という方向になっていく。しかし隠しながらやると、より罪悪感は増していく・・・それに対しては、ひとつ明確な解決策があります。

社外での活動を隠すのではなく、むしろ可視化していくということ。コンテンツ化していくということ。私は、この「圏外コピーライター」というブログで、できるかぎり人生実験を公開しています。(NDA契約を結んでいる仕事以外は)

もちろん賛否両論はあると思いますが「なんかよくわからないやつ」「じぶんとはちがうやつ」と思われた方が、結果的に期待値を高め、人間関係を構築するのにも役立つことが多いと感じています。わざわざブログを読んでくれて、じぶんに合う仕事、じぶんに合う人間が向こうからやってきてくれるので、とにかく人や仕事と出会える効率が上がりました。

4、パラレルキャリアには、会社の制度より、文化が重要だ。

副業・兼業可の会社は、増えているという。しかし、会社の制度より「人の多様性」を認められる文化があるかどうか、が最重要なポイントだと感じています。
私が所属しているAという会社は、兼業ができる制度があるだけではなく、「人の多様性」を認め合える文化がある会社です。

制度があることも大事ですが、そういう文化があるからこそ、他社よりもパラレルキャリアがしやすい環境だと感じています。また文化だけでなく、ある程度人間関係を構築できてることも重要かもしれません。お互いの強み・弱み・未来への展望を共有し、協力しあえる関係になると、パラレルキャリアは一層しやすくなったという感覚があります。

企業の「働き方改革」推進者には、制度をつくるだけではなく、「多様な生き方・働き方」を応援する文化&人(の認識)を育てることに意識を向けるとよいかもしれません。

5、パラレルキャリアは、バックオフィスを自動化せよ。

パラレルキャリアを始めると、確定申告などの経理関係の業務が生じます。会社がやっていてくれたことを、自分でやる必要が出てきます。お金周りに関しても、明確な解決策があります。それは、クラウド会計ソフトを導入することで、すべて自動化してしまうということ。

ちなみに私たち夫婦では、( ※会計ソフトfreee)を利用しています。(会計知識がある人はMFクラウド、会計初心者はfreeeが使いやすいと言われています)
銀行口座、クレジット、モバイルSuicaと連動できるので、生きてるだけで、勝手に仕訳までしてくれる優れたサービス。なおかつ、じぶんのPL/BSもすべて見れる状態になるので、人生のマネープランを考える上でも参考になります。

3、パラレルキャリアを実践してみたメリット

最後に、パラレルキャリアを半年間実践してみたメリットを簡単に紹介します。

メリット1、じぶん自身を経営している感覚になり、人生資源を効率的に使える。

ひとつの会社に属してると、じぶんの労働の対価が認識しづらくなりがちです。しかしパラレルキャリアを始めてからは、自らの時間や金銭的資産を、何に投資するか、という経営目線でじぶんの人生を操縦している感覚が強まりました。インパクトが小さく、ムダな作業は、効率化しようという意識も働くので、強制的に生産性が上がった気がします。

メリット2、クビが、大胆な意思決定や行動ができる。

Aという会社、Bという会社。かりにどちらかの収入がゼロになっても、なんとか飯を食っていける状態になると、すこし会社へのスタンスが変わる気がします。クビになることがどうでもよくなるというか、(もちろん、クビにはならないほうがいいが笑)より会社を使い倒すというマインドで、会社を楽しむことができている気がします。

メリット3、キャリアとして、希少価値があがりやすい。

30半ばというじぶんの年齢もあるのかもしれませんが、電通にいたときより、いいキャリアの話をいただく機会が増えた気がします。パラレルキャリアは、経験や能力として、レアカードになりやすいからからかもしれません。電通は、社員が約8000人。そのうちコピーライターは100人以上いますが、事業会社のマーケティング経験、夫婦での起業&経営経験がある、コピーライター/コミュニケーションプランナーは、おそらく私ひとりだと思います。

メリット4、同じ労働時間のなかでも、生産性が高まる。

パラレルキャリアで培えるスキルや人脈が、いい相乗効果を生むことがあります。また同じ時間で、ふたつの仕事をするというマジックタイムが発生することもあります。Aという会社の仕事でいったら、Bの仕事にもつながるなど。ひとつの主体で稼げる労働の単価には上限があると考えています(労働集約的な仕事では、がんばっても時給1万円/年収2000万円くらい)。しかし同じ時間で複数の主体で働けるようになると、労働の単価は上がるのだろうなと、予想しています(私は、その域に達していませんが)。たとえばホリエモンとかはそんな感覚かもしれません。

メリット5、夫婦でパラレルキャリアをすると、より仲がよくなる。

夫婦の幸せを追求することが、ビジネスになるという好循環が生まれています。詳しくは話しませんが、とにかく仲は良いと思います笑

最後に

今回は、パラレルキャリアに関して紹介してきました。
「パラレルキャリアなんて一部の人のだけの話じゃない?」「ちょっと非常識な話じゃない?」と思われた方もいるかもしれません。
もちろん、ひとつの会社に、深くコミットするという生き方があっている方もたくさんいると思います。

ただ、常識は、驚くほど簡単に変わるとも思っています。電通時代に、残業が22時までしかできなくなったときには「22時までしか仕事ができないなんて、ぜったいムリ!」と思っていました。

しかし、今では「22時まで仕事をするなんて、ぜったいムリ!」という感覚に変わっています。22時には、お風呂にはいって、ほぼ寝る準備をしています笑い。人の常識なんて、それくらい変わるのだなと。とくに人の幸せに直結する変化に関しては、よりスピード感をもって常識は変わっていく気がします。

日本人の労働満足度は、世界と比較して低いというデータがあります。また一人あたりのGDPも低下していくという予測も出ています。
これから、本田宗一郎のような偉大な経営者が、日本から世界を変えるということもあるのかもしれませんが、いわゆる普通のビジネスマン一人ひとりが、幸せと生産性を高める働き方を模索していくことのほうが、社会的なインパクトは大きいのではないかとも思っています。

人は、幸せを追求するために、働くという行為を、もう一度発明する時代に入っているのかもしれません。

私もまだまだ答えを見出していませんが、引き続き実験をして、このブログで公開していきます。
読んでいただきありがとうございました。

圏外コピーライター 銭谷侑

【告知】10/25(水)NHK文化センターでセミナーします。 https://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_1133123.html

Twitter、Facebookでも配信はじめました。

Pocket