仙台にいる両親が、息子に会いに遊びにきた。
ここでひとつ「問い」が生まれる。息子の前で、じぶんの父と母のことを何と呼ぶか。
聞き馴染みがあるのは「おじいちゃん・おばあちゃん」だろうか。ぼくの幼少期も、祖父母のことは「おじいちゃん・おばあちゃん」と呼んでいた。同級生の中には「じいちゃん・ばあちゃん」と呼んでいた家庭もあったと記憶している。
調べてみると、ひと昔前は「おじいちゃん・おばあちゃん」が主流だったが、最近は「じいじ・ばあば」と呼ぶのが主流になっているとのこと。親しみやすい語感が人気のようだ。中には「グランパ・グランマ」と呼ぶ家庭もいるだとか。呼称も諸行無常なのね。
では、ぼくらはどうするのか。息子が発音しやすく、なおかつ両親が「キュン」となる呼称がよいかねと、夫婦で話した。というのも、こどもが産まれてから、「孫キュンの効用」がすごいのだ。
Googleフォトに「両親用の共有フォルダ」をつくった。やり方も何も教えなかったのだが、どこかで学習したようで、ある時からコメント機能やハートマークボタンなども使いはじめた。今ではGoogleフォト上で、両家の親同士の会話も生まれている。2022年12月16日現在、223件ものコメントがついている。
たまに電話で父親と話すと、「孫の写真がかわいい、かわいい」と熱をあげて話してくる。ぼくが物心ついた時には、父は単身赴任で別居していたし、たまに家にいてもリビングの前で寡黙にテレビを見ている人だった。けして子煩悩な人には見えなかった。
でもまあ、孫の存在が、60歳をこえても新しいことを学ぶ力になっているのであれば、良いことな気がする。親しみ強調の「じいじ・ばあば」と呼ぼう。ピカピカのじいじとばあばの誕生だ。
両親が遊びに来たさいに、実際に呼んでみると、まんざらでもない様子(ぼくからすると、いまだに気恥ずかしさはあるのだが)。自ら「じいじですよ」「ばあばですよ」と名乗って、温泉卵みたいにデレデレになっていた。息子よ、キミの圧勝だ。
それにしても、孫の存在はそんなにカワイイものなのでしょうか?目の前のことに精一杯なぼくには、皆目見当もつかない。ただ、呼称も、人の価値観も変わりつづけるのが世の常。
すべての父親にとって、「グランパ!」なんて呼ばれて、孫キュンしている未来があってもおかしくはない。
©︎kengai-copywriter 銭谷 侑 / Yu Zeniya
ほぼ毎週「育休エッセイ」更新中 → 一覧はこちら