誰でもとれる、TCC新人賞のとり方

TCC新人賞は、イケてるコピーライターのためにあるんじゃない。
イケてないコピーライターたちが一発逆転のために下克上する舞台だ。
わたしは、そう考えています。だって、イケてるコピーライターは、TCC新人賞なんかとらなくてもいい仕事がくるのだから。
この記事は「広告賞に出せそうな、いい仕事が回ってこない」「そもそも、仕事さえもほとんどない」そんな、くすぶってるコピーライターのために、確実にTCC新人賞が取れる方法をまとめてみました。

TCC新人賞とは

いちおう、TCC新人賞を知らない人のために簡単に説明します。

コピーライターの登竜門であるのが、TCC新人賞。応募総数は毎年500人ほどで、そのうち約20〜30人ほどが新人賞を受賞し、TCC会員になる資格を手にいれる。倍率が20倍くらいなら、簡単にとれると思われがちだが、応募する全員がプロのコピーライター。なかなかの敷居の高さだ。




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TCC新人賞には2つのとり方がある

わたしは、社会人3年目でコピーライターになり、コピーライターになって2年目(社会人5年目)でTCC新人賞を受賞しました。

TCC新人賞をとる方法は、大きく2つあります。

ひとつは、有名クリエーターに気に入られて 賞をとりやすい仕事に入れてもらうこと。TCC新人賞を受賞した、約半数の人は、この方法で新人賞をとっています。スタッフリストで、コピーライターではなく、CDの項目を見れば一目瞭然だ。まぁ有名クリエーターが審査員をしているのだから、あたりまえといえば、あたりまえだ。いい仕事をするためには、いいクリエーターに誘ってもらう、極めてわかりやすい構造です。

ただこのやりかたは、有名クリエーターが多く所属している、大手広告会社に入っている人に限られるやり方。かつ、有名クリエーターにかわいがってもらえような可愛げがあったり、戦略的に人の懐に入れる人に許されたやりかた。そうでない方以外は、難しいでしょう。

「大手広告代理店に所属していない」「有名クリエーターなんてルートがない」「賞をとれる仕事なんて絶対に来ない」「そもそも仕事もない」そんなコピーライターの方も安心してください。

まさにぼくが、そういう圏外なコピーライターでした。大手広告代理店に所属していたものも、1週間のうち、数回しか打ち合わせが入っていない、いわゆる「社内ニート」状態。

そんなコピーライターでも、もうひとつTCC新人賞をとる方法があります。それは「あたらしい仕事をつくる」ことです。とくに、TCC会員がコピーを書いていない、 新しい領域でコピーの仕事をつくること。

たらしい領域で仕事をつくることが あたらしい表現をつくる もっとも効率的な方法なのです。

「新しい仕事って、どうつくればいい?」「新しい仕事って、どうやったら評価されるの?」

新しい領域でコピーの仕事をつくるコツを、そして戦略的にTCC新人賞の審査の場で評価してもらえる4大ポイントをまとめてみました。

 

ポイント①あたらしい仕事(領域)の探しかた

TCC新人賞で賞を獲得するためにあたらしい仕事をつくるのなら、いままでコピーライターがほとんどコピーを書いたことのない分野を探すのがコツです。「あたらしい社会課題」「今までにない、あたらしいモノやサービス」はチャンスのある領域です。

ちなみに2015年のわたしは、LGBTというテーマに注目し、(その時代、コピーライターでLGBTのコピーを書いている人はほとんどいなかった)
LGBT分野で仕事をつくりました。

2017年現在でいうと、たとえば発達障害、超人スポーツ協会などの分野は、コピーを書いた人が少ない領域だと思います。じぶんの興味分野で、だれもコピーを書いたことのない領域を探すのがポイントです。

ポイント②新しく小さな仕事のクライアントの探しかた

じぶんがつくりたい仕事の領域が決まったら、自主提案をしに行きましょう。あたらしく小さな仕事ほど、クライアント名が、できるかぎり大きくしっかり見える企業を選ぶのをおすすめします。私はLGBTという領域で仕事をつくろうと決めたとき、さまざまなクライアント候補に電話し直接会って話したりしました。

「日本セクシャルマイノリティ協会」に自主提案をしてもちろん、名前が大きく見えるだけではなく、そのクライアントの方が、いっしょに企ててくれる人である必要は、言わずもがなです。ただ「クライアント名もコピーである」という認識をもって、自主提案先を決めるか決めないかで、賞を取れるか取れないかに大きく左右します。いくらいいコピーを書いても、クライアント名で損をしたら意味がないですから。


ポイント③媒体費がゼロでも、クライアントのメディアを使えばい

あたらしい仕事をつくるにあたって、いちばんのネックはお金でしょう。あたらしい領域で仕事をつくろうとするほど、予算がほとんどないという企業も多いはずです。

ひとつは、クラウドファンディングをつかって必要なお金を稼ぐ方法。企画がよければ、世の中からお金を集めることができる時代です。

ただこれは、手間もかかるし面倒だと思われる方も多いのではないでしょうか。もし企業がFacebookをやってる場合は、もうひとつ、手間がかからず広告費もかからず広告を世の中に出せる方法があります。

それが、「企業のFacebookを媒体として使う」こと。
Facebook広告を出すのはもちろん有料ですが、企業が運営しているFacebookメディアに広告コンテンツとしてバナーを投稿してもらうのは、>企業にとっては媒体費ゼロで可能です。媒体費がゼロでも、そのぶん制作費はなるべく多くもらえるよう交渉しましょう。
それが広告として機能するコピーなら、クライアントはお金を払ってくれるはずです。
(TCC新人賞に応募する条件として、自主制作ではなく、クライアントワークであることが必要となります。お金が発生していなければ、広告賞に応募できません)

ポイント④世の中を動かした、参考資料も提出するとベター

あたらしい仕事ほど、予算も少なくマス広告以外の仕事が多くなりがちです。(マス広告までつくれたのなら、それは素晴らしいことだが)

TCC新人賞に応募するときに、参考資料を添付できるのですが、小さい仕事ほど「心を動かした証拠」を提出すると効果的です。

わたしは、日本セクシャルマイノリティ協会を主催に「 “好き”に変はない展」という展覧会を仕掛け、ギャラリーには2000名以上が訪れたのですが、審査員の多くは知らないひとも多かった案件です。そのため、ウェブでの反響と、来場者の方が書き込んだ、寄せ書きを添付しました。約200名ほどが書いた寄せ書きで、A4×30ページくらいのものを添付しました。

規模は大きくなくても、たとえ一人でも、人の人生を変えたことばは、 機能したことばです。
あたらしい領域でコピーの仕事をつくったときは、寄せ書きでも、Twitterでの反応でもなんでもよいので、その仕事を可視化する材料を何かしらつくっておくのがよいでしょう。

以上、4つがTCC新人賞で賞をとるための仕事のつくりかたでした。

あたらしい領域の見つけかた。クライアントの探しかた。広告費が少なくても、仕事をつくるやり方。仕事をよく見せる参考資料。
どれも、だれでも実践できるコツです。あとは、やるかやらないかのちがい。行動するかしないかのちがいだけだと思います。
じぶんがもっとも興味のある分野で、だれもつくってない分野で仕事をつくりTCC新人賞をとれれば、その人の強大なブランディングになります。じぶんに合う仕事が入りやすくなります。
ぜひTCC新人賞という舞台を、有益に使い倒されることを期待します。